本資料に掲載されている技術情報は一般的な特性を説明する為のもので、
これにより何らかの保証をするものではありませんので予めご了承ください。
【File No.HeatCheck-001】
ヒートチェック特性(熱サイクル試験)
1. ヒートチェック特性(1)
 1.1 目的
 製鋼設備である連続鋳造用ローラー(CCローラー)の耐久寿命(急熱急冷)を比較検討するため、熱サイクル試験(耐ヒートチェック性)を行った。
 1.2 試験方法
下記(1)〜(3)の熱サイクルを1000回繰り返し、顕微鏡観察により亀裂発生状況を調査した。
 (1)加熱:室温〜600℃ 5秒
 (2)保持:600℃ 2秒
 (3)水冷:25℃ 15秒
 1.3 比較材質
 (1)シリコロイA2:過時効処理(OAG)
 (2)シリコロイB2:溶体化熱処理
 (3)シリコロイD:溶体化熱処理
 1.4 試験結果
 1.4.1 熱サイクル試験後の外観
シリコロイA2 シリコロイB2 シリコロイD
Data No.SLABD-NSTR199408-SMT94309S-2006091001
 1.4.1 表面亀裂発生状況
シリコロイA2 シリコロイB2 シリコロイD
倍率:50倍 倍率:50倍 倍率:50倍
Data No.SLABD-NSTR199408-SMT94309S-2006091001
 1.4.2 断面亀裂発生状況
シリコロイA2 シリコロイB2 シリコロイD
倍率:100倍 倍率:100倍 倍率:100倍
Data No.SLABD-NSTR199408-SMT94309S-2006091001
 1.5 まとめ
項目 シリコロイA2 シリコロイB2 シリコロイD
熱サイクル
表面熱亀裂
100回までに微小熱亀裂発生。
600回から亀裂が進展した様子。
100回までに微小熱亀裂発生。
800回から亀裂が進展した様子。
200回までに微小熱亀裂発生。
1000回までには大きな亀裂は発生せず。
熱サイクル
断面熱亀裂
1o以上の割れが3ケ所。0.1〜0.5oの割れが7ケ所見られる。 0.1〜0.5oの割れが5ケ所見られる。 0.5o以上の割れは見られず。
総合評価 ・シリコロイの熱サイクルによる耐熱亀裂性の比較は、以下のようになった。
     優←  シリコロイD > シリコロイB2 > シリコロイA2
・シリコロイA2はSKD61との比較ではシリコロイA2に優位性があること、また高温腐食試験結果などを総合的に考察すると、連続鋳造用ローラーとしてはシリコロイDが最も適していると思われる(下記資料参照)。
・しかしながら、現在連続鋳造用ローラーとしてはシリコロイA2の実績が最も多く、実用化されている。
Data No.SLABD-NSTR199408-SMT94309S-2006091001

2. ヒートチェック特性(2)
 2.1 試験方法
(1)各試験温度に加熱→水冷 の繰り返し
(2)試験時間:1h
(3)サイクル:7回/min.
 2.2 試験結果
シリコロイA2:過時効処理(OAG)
Data No.SLA-TSTR1993-CCRMAR-2006091001

3. ヒートチェック特性(3)
 3.1 試験方法
(1)各試験温度に加熱→水冷 の繰り返し
(2)試験回数:1000回
 3.2 試験結果
Data No.SLA-TSTR1993-CCR-2006091001
 3.3 試験結果データ
材質 温度 総数 総長 発生頻度 平均長さ 最大長さ 50μm
以上の数
N mm Σn/cm μm mm
シリコロイA2(ST)

加熱6秒×冷却3秒
試験回数:1000回
600 53 0.51 11.25 9.70 0.03 -
650 511 11.60 108.49 22.69 1.78 16
700 460 15.66 97.67 34.05 2.60 38
750 349 22.17 74.10 63.52 3.10 80
シリコロイA2(OAG)

加熱6秒×冷却3秒
試験回数:1000回
600 88 1.18 18.68 13.35 0.22 2
650 386 12.87 81.95 33.35 2.34 36
700 506 13.77 107.43 27.21 1.80 28
750 329 17.42 69.85 52.95 2.25 60
SUH660(AG)

加熱4秒×冷却3秒
試験回数:1000回
600 13 0.80 2.76 1.40 0.01 -
650 387 2.43 82.16 6.30 0.01 -
700 - - - - - -
800 614 4.47 130.36 7.30 0.10 3
SUS321(ST)

加熱8秒×冷却3秒
試験回数:1000回
600 14 0.09 2.97 6.29 0.01 -
650 196 2.05 41.61 10.46 0.05 -
700 434 5.64 92.14 13.00 0.10 4
750 361 8.07 76.65 22.34 1.61 17
SCM435

加熱4秒×冷却3秒
試験回数:1000回
600 162 2.00 34.40 12.36 0.08 4
650 216 2.75 45.86 12.72 0.10 5
700 274 10.57 58.17 38.57 0.27 68
750 腐食激しく判定不能
S45C

加熱4秒×冷却3秒
試験回数:1000回
600 190 3.05 40.34 16.04 0.11 8
650 333 4.74 70.70 14.25 0.20 7
700 304 8.71 64.54 28.66 0.35 40
750 腐食激しく判定不能
Data No.SLA-TSTR1993-CCR-2006091001
 <関連サイト>
■7. シリコロイD(オーステナイト系) 7.1 諸特性 7.2 高温特性(1) 7.3 高温特性(2)
7.4 耐ヒートチェック特性 7.5 耐高温腐食性 7.6 温度と酸化増量の関係
7.7 耐食性(1) 7.8 耐孔食性

◆ 本ページのキーワード
Material :シリコロイA2、シリコロイB2、シリコロイD、SUS321、SUH660、SCM435、S45C、SKD61
マルエージング鋼
特  性 :ヒートチェック特性、熱衝撃性、熱亀裂

 <Site Map>
項目 サイト名
■1. シリコロイとは? 1.1 What’s Silicolloy? 1.2 析出硬化とは? 1.3 History
■2. 応用製品例 2.1 リップ・精密金型 2.2 連続鋳造用ローラー 2.3 製品例
■3. お問合せ先 3.1 Company Profile 3.2 サービス体制
■4. シリコロイA2(析出硬化系) 4.1 諸特性
  ◆トライボロジー 4.2 摩擦摩耗特性 4.3 耐焼付性
  ◆耐食性 4.4 耐食性(1) 4.5 耐食性(2) 4.6 耐孔食性
4.7 応力腐食割れ性
  ◆耐熱性 4.8 高温特性(1) 4.8 高温特性(2) 4.9 耐ヒートチェック特性
4.10 耐高温腐食性 4.11 温度と酸化増量の関係
  ◆熱処理特性 4.13 時効硬化熱処理特性 4.14 低温時効処理特性 4.15 溶体化熱処理特性
4.16 低温溶体化特性 4.17 再溶体化熱処理特性 4.18 SUS630との比較(1)
4.19 SUS630との比較(2)
  ◆プロセス技術 4.20 熱処理寸法変化 4.21 加工性 4.22 加工プロセス
4.23 局部高硬度化技術
■5. シリコロイXVI(析出硬化系) 5.1 諸特性 5.2 摩擦摩耗特性 5.3 耐焼付性
5.4 耐食性(1) 5.5 耐食性(2) 5.6 耐孔食性
5.7 熱処理寸法変化 5.8 溶体化熱処理特性 5.9 局部高硬度化技術
■6. シリコロイB2(2相系) 6.1 諸特性 6.2 耐食性(1) 6.4 シリコロイB2の耐食性
6.5 高温特性(1) 6.6 耐ヒートチェック特性 6.7 温度と酸化増量の関係
■7. シリコロイD(オーステナイト系) 7.1 諸特性 7.2 高温特性(1) 7.3 高温特性(2)
7.4 耐ヒートチェック特性 7.5 耐高温腐食性 7.6 温度と酸化増量の関係
7.7 耐食性(1) 7.8 耐孔食性
■8. SUS630(析出硬化系) 8.1 諸特性 8.2 SL-A2との比較(1) 8.3 SL-A2との比較(2)
8.4 摩擦摩耗特性 8.5 耐焼付性 8.6 耐食性(1)
8.7 耐食性(2) 8.8 耐孔食性 8.9 熱処理寸法変化
8.10 温度と酸化増量の関係 8.11 応力腐食割れ性
■9. SUS420J2(マルテンサイト系) 9.1 諸特性 9.2 耐食性(1) 9.3 耐孔食性
9.4 熱処理寸法変化 9.5 摩擦摩耗特性 9.6 応力腐食割れ性
■10. SUS440C(マルテンサイト系) 10.1 諸特性 10.2 耐食性(1) 10.3 耐食性(2)
10.4 耐孔食性 10.5 熱処理寸法変化 10.6 摩擦摩耗特性
【New】 2007.6.23 追加
■11. SUS304(オーステナイト系)
11.1 諸特性 11.2 耐食性(1) 11.3 耐食性(2)
11.4 耐孔食性 11.5 ステンレスの耐食性 11.6 摩擦摩耗特性
11.7 耐焼付性 11.8 摩擦摩耗特性(詳細版2)
【New】 2007.6.23 追加
■12. SUS316L(オーステナイト系)
12.1 諸特性 12.2 耐食性(1) 12.3 耐食性(2)
12.4 耐孔食性 12.5 ステンレスの耐食性 12.6 耐焼付性
■13.S55C-Normal(炭素鋼) 13.1 諸特性
■14.表面改質技術 14.1 特殊浸炭処理 14.2 低温窒化処理 14.3 表面改質の耐食性
【New】 2007.4.25 追加
■15.トライボロジー
   (摩擦摩耗特性)
15.1 摩擦摩耗特性(簡易版) 15.2 耐焼付性
15.3 摩擦摩耗特性(詳細版1) 15.4 摩擦摩耗特性(詳細版2) 15.5 摩擦摩耗特性(詳細版3)
15.6 摩擦摩耗特性(詳細版4) 15.7 摩擦摩耗特性(詳細版5)