本資料に掲載されている技術情報は一般的な特性を説明する為のもので、
これにより何らかの保証をするものではありませんので予めご了承ください。
【File No.S55C-001】
S55C-Normalizing
<機械構造用炭素鋼-ノルマライジングの効果>
1. 化学成分
(wt%)
成 分 C Si Mn P S Cu Ni Cr Ni+Cr Fe
規格 0.52-
0.58
0.15-
0.35
0.60-
0.90
Max
0.030
Max
0.035
Max
0.300
Max
0.200
Max
0.200
Max
0.35
Bal.
Data No.S55C-TR2006-2006091001
2. 焼ならしとは(Normalizing)?
 焼ならしは鋼にとっては無理やり軟らかくした状態、焼入れは無理やり硬くした状態です。言い換えれば、鋼にとっては強制された状態となります。焼ならしは硬からず、軟らかからず、もって生まれた状態に戻すことです。つまり焼いて標準状態(ノルマル)の鋼に戻すということです。
3. 焼ならしの効果
 鉄の素材を加工すると、加工時の熱や加工抵抗による機械的な力により、加工表面の鉄の組織が不均一(結晶粒の粗大化、引き伸ばし等)になり、その結果表面が硬くなったり(加工硬化現象)、残留応力が生じるなどの影響が残ります。
 「焼ならし」プロセスは、このような表面の不均一な結晶粒を微細化させ、機械的性質(靭性など)や機械加工性を向上させることが狙いです。
4. 機械的性質(参考資料)
熱処理 温度 引張強度 耐力 伸び 絞り シャルピー
衝撃値
硬度
N/mm2 N/mm2 J/cm2 HB
焼ならし 800〜850℃空冷 647以上 392以上 15以上 - - 183〜255
焼なまし 約790℃炉冷 - - - - - 149〜192
焼入れ・焼もどし 800〜850℃水冷
550〜650℃急冷
785以上 588以上 14以上 35以上 59以上 229〜285
Data No.S55C-TR2006-2006091001

5. S55Cの熱処理状態の比較試験
 一般的に金型材として使用される、S55C-N材(ノルマライジング)、S55C-Hot材(非調質・溶断品)、S50C材について、硬度分布、硬度バラツキ、および顕微鏡組織について調査しました。
 5.1 S55C-N材(ノルマライジング)
  (1)試験片
試験片採取位置 試験片
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
  (2)硬度分布
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
  (3)硬度バラツキ
項目 硬度(HV)
黒皮面から0,5mm 黒皮面から1.0mm 黒皮面から2.0mm 黒皮面から5.0mm 黒皮面から10.0mm 全体
Ave 215.6 210.9 208.5 209.7 209.1 210.8
Max 227.9 222.9 221.1 220.5 218.3 227.9
Min 205.6 198.3 201.0 200.0 201.8 198.3
バラツキ(3σ) 19.6 21.2 15.1 15.8 14.4 19.0
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
  (4)顕微鏡組織
倍率:100倍 倍率:100倍 倍率:100倍
黒皮面から0.5mm 黒皮面から1.0mm 黒皮面から5.0mm
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001

 5.2 S55C-Hot材(非調質・溶断品)
  (1)試験片
試験片採取位置 試験片
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
  (2)硬度分布
     ◆溶断部含む
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
     ◆溶断部含まず
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
  (3)硬度バラツキ
     ◆溶断部含む
項目 硬度(HV)
黒皮面から0,5mm 黒皮面から1.0mm 黒皮面から2.0mm 黒皮面から5.0mm 黒皮面から10.0mm 全体
Ave 307.5 242.0 220.5 211.4 217.5 239.8
Max 686.6 403.3 240.7 229.7 243.9 686.6
Min 191.2 201.4 201.6 197.8 188.1 188.1
バラツキ(3σ) 399.2 132.0 32.6 25.1 41.0 217.5
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
     ◆溶断部含まず
項目 硬度(HV)
黒皮面から0,5mm 黒皮面から1.0mm 黒皮面から2.0mm 黒皮面から5.0mm 黒皮面から10.0mm 全体
Ave - - 220.5 211.4 217.5 216.5
Max - - 240.7 229.7 243.9 243.9
Min - - 201.6 197.8 188.1 188.1
バラツキ(3σ) - - 32.6 25.1 41.0 35.4
*溶断部を含まない場合は、溶断部から2mm未満のデータを含まずに、中心部付近の硬度分布を調査したものです。
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
  (4)顕微鏡組織
倍率:100倍 倍率:100倍 倍率:100倍
黒皮面から0.5mm 黒皮面から1.0mm 黒皮面から5.0mm
*溶断の熱影響で組織変化
  している
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001

 5.3 S50C材
  (1)試験片
試験片採取位置 試験片
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
  (2)硬度分布
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
  (3)硬度バラツキ
項目 硬度(HV)
黒皮面から0,5mm 黒皮面から1.0mm 黒皮面から2.0mm 黒皮面から5.0mm 黒皮面から10.0mm 全体
Ave 214.4 214.3 208.2 204.5 213.7 211.0
Max 230.7 222.9 218.1 218.5 229.8 230.7
Min 180.8 208.5 200.1 186.2 192.7 180.8
バラツキ(3σ) 37.9 10.3 14.9 29.7 27.0 28.6
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
  (4)顕微鏡組織
倍率:100倍 倍率:100倍
黒皮面から1.0mm 黒皮面から5.0mm
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001

 5.4 総合比較
  (1)顕微鏡組織
倍率:100倍 倍率:100倍 倍率:100倍
S55C-ノルマライジング S55C-Hot材(非調質) S50C
黒皮面から5.0mm 黒皮面から5.0mm 黒皮面から5.0mm
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
  (2)バラツキ
材質 全体 全体
(溶断部含まず)
黒皮面から5.0mm
S55C-ノルマライジング
(焼ならし)
19.0 - 15.8
S55C-Hot
(非調質・溶断品)
217.5 35.4 25.1
S50C 28.6 - 29.7
Data No.S55C-TRSI2003-2006091001
 S55C-ノルマライジング材(焼ならし)は製鋼メーカーの安定した焼ならしを行っており、S55C-Hot材(非調質)およびS50Cと比較して、組織が緻密で微細化され、更に組織バラツキおよび硬度バラツキが非常に少ないのが特徴です。
 特に精密金型のプレート材としては良好であることが分かります。

 【S55C-ノルマ材のお問合せ先】
   S55C-ノルマライジング(焼ならし)のプレート材は株式会社天彦産業にて取り扱いしています。
     株式会社天彦産業、営業部、新宮義之
     〒559-0032 大阪府大阪市住之江区南港南5-5-26
      Tel 06-6613-2361  Fax 06-6613-2367
      ホームページ  htttp://www.tenhiko.co.jp/
      E-Mail  shingu@tenhiko.co.jp
 ◆S55C-ノルマライジングのプレート材は製鋼メーカーの安定したノルマライジング(焼ならし)の効果により、優れた機械加工性と
  加工歪みの低減が可能でトータルコストダウンに貢献します。
 <関連サイト>
No 分 類 材 質
1 機械構造用炭素鋼 S55C-Normal
2 ステンレス オーステナイト系 SUS304
3 ステンレス オーステナイト系 SUS316L
4 ステンレス マルテンサイト系 SUS420J2
5 ステンレス マルテンサイト系 SUS440C
6 ステンレス 析出硬化系 SUS630
7 シリコロイ 析出硬化系 シリコロイA2
8 シリコロイ 析出硬化系 シリコロイXVI
9 シリコロイ 二相系 シリコロイB2
10 シリコロイ オーステナイト系 シリコロイD

◆ 本ページのキーワード
Material :S55C、S50C
特  性 :焼ならし、ノルマライジング

 <Site Map>
項目 サイト名
■1. シリコロイとは? 1.1 What’s Silicolloy? 1.2 析出硬化とは? 1.3 History
■2. 応用製品例 2.1 リップ・精密金型 2.2 連続鋳造用ローラー 2.3 製品例
■3. お問合せ先 3.1 Company Profile 3.2 サービス体制
■4. シリコロイA2(析出硬化系) 4.1 諸特性
  ◆トライボロジー 4.2 摩擦摩耗特性 4.3 耐焼付性
  ◆耐食性 4.4 耐食性(1) 4.5 耐食性(2) 4.6 耐孔食性
4.7 応力腐食割れ性
  ◆耐熱性 4.8 高温特性(1) 4.8 高温特性(2) 4.9 耐ヒートチェック特性
4.10 耐高温腐食性 4.11 温度と酸化増量の関係
  ◆熱処理特性 4.13 時効硬化熱処理特性 4.14 低温時効処理特性 4.15 溶体化熱処理特性
4.16 低温溶体化特性 4.17 再溶体化熱処理特性 4.18 SUS630との比較(1)
4.19 SUS630との比較(2)
  ◆プロセス技術 4.20 熱処理寸法変化 4.21 加工性 4.22 加工プロセス
4.23 局部高硬度化技術
■5. シリコロイXVI(析出硬化系) 5.1 諸特性 5.2 摩擦摩耗特性 5.3 耐焼付性
5.4 耐食性(1) 5.5 耐食性(2) 5.6 耐孔食性
5.7 熱処理寸法変化 5.8 溶体化熱処理特性 5.9 局部高硬度化技術
■6. シリコロイB2(2相系) 6.1 諸特性 6.2 耐食性(1) 6.4 シリコロイB2の耐食性
6.5 高温特性(1) 6.6 耐ヒートチェック特性 6.7 温度と酸化増量の関係
■7. シリコロイD(オーステナイト系) 7.1 諸特性 7.2 高温特性(1) 7.3 高温特性(2)
7.4 耐ヒートチェック特性 7.5 耐高温腐食性 7.6 温度と酸化増量の関係
7.7 耐食性(1) 7.8 耐孔食性
■8. SUS630(析出硬化系) 8.1 諸特性 8.2 SL-A2との比較(1) 8.3 SL-A2との比較(2)
8.4 摩擦摩耗特性 8.5 耐焼付性 8.6 耐食性(1)
8.7 耐食性(2) 8.8 耐孔食性 8.9 熱処理寸法変化
8.10 温度と酸化増量の関係 8.11 応力腐食割れ性
■9. SUS420J2(マルテンサイト系) 9.1 諸特性 9.2 耐食性(1) 9.3 耐孔食性
9.4 熱処理寸法変化 9.5 摩擦摩耗特性 9.6 応力腐食割れ性
■10. SUS440C(マルテンサイト系) 10.1 諸特性 10.2 耐食性(1) 10.3 耐食性(2)
10.4 耐孔食性 10.5 熱処理寸法変化 10.6 摩擦摩耗特性
【New】 2007.6.23 追加
■11. SUS304(オーステナイト系)
11.1 諸特性 11.2 耐食性(1) 11.3 耐食性(2)
11.4 耐孔食性 11.5 ステンレスの耐食性 11.6 摩擦摩耗特性
11.7 耐焼付性 11.8 摩擦摩耗特性(詳細版2)
【New】 2007.6.23 追加
■12. SUS316L(オーステナイト系)
12.1 諸特性 12.2 耐食性(1) 12.3 耐食性(2)
12.4 耐孔食性 12.5 ステンレスの耐食性 12.6 耐焼付性
■13.S55C-Normal(炭素鋼) 13.1 諸特性
■14.表面改質技術 14.1 特殊浸炭処理 14.2 低温窒化処理 14.3 表面改質の耐食性
【New】 2007.4.25 追加
■15.トライボロジー
   (摩擦摩耗特性)
15.1 摩擦摩耗特性(簡易版) 15.2 耐焼付性
15.3 摩擦摩耗特性(詳細版1) 15.4 摩擦摩耗特性(詳細版2) 15.5 摩擦摩耗特性(詳細版3)
15.6 摩擦摩耗特性(詳細版4) 15.7 摩擦摩耗特性(詳細版5)