熱処理
ステンレスの熱処理寸法変化
Distortion after Age Hardening
析出硬化系ステンレスは焼入鋼と異なった熱処理プロセスで、比較的低温の熱処理で高硬度化するため、焼入鋼のような問題(熱処理歪み、寸法変化、焼き割れ、酸化スケールの付着など)が少なく、加工プロセス改善に有効です。
言い換えれば焼もどし処理で高硬度化するメカニズムです。
近年、半導体・液晶関連装置の精密部品、精密金型などの分野では更なる機能性の向上、製造プロセスの改善などの面で析出硬化型ステンレスが着目されています。
今回、析出硬化型ステンレスおよびマルテンサイト系ステンレスの熱処理による寸法変化を調査しましたのでご報告致します。
1. 試験片
- 材質:シリコロイA2、シリコロイXVI、SUS630、SUS440C、SUS420J2
- 丸棒形状:φ10~28mm×80mm
- 熱処理:時効硬化熱処理、焼入れ・焼もどし
2. 試験方法
- 溶体化熱処理を施した各丸棒素材を3次元測定機により長さ方向及び直径方向を測定。
- 各時効硬化熱処理温度で熱処理を施した後、再度3次元測定機により測定し寸法変化を定量化。
- 時効硬化熱処理条件:450、480、500、650、700、740℃×6hour/AC、熱処理:電気炉(大気熱処理)
- 焼入れ熱処理条件:1020℃×0.5hour/急冷、熱処理:電気炉(大気熱処理)
3. 測定機
- 名称:
- 精度・高速三次元測定機 / カールツァイスPRISMO 5 HTG VAST
- メーカー:
- 株式会社東京精密
- 測定精度:
- E=1.9+L/300μm R3=1.5μm
4. 析出硬化系ステンレスの熱処理寸法変化(1)
5. 析出硬化系ステンレスの熱処理寸法変化(2)
6. 熱処理後の外観
7. 焼入型ステンレスの熱処理寸法変化
8. 焼入型ステンレスの酸化スケール
9. 熱処理後の外観
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