熱処理

表面処理:表面改質技術
Surface Modification Effect

析出硬化系シリコロイ鋼は硬度、耐食性、摩擦摩耗特性、耐焼付き性など総合的なポテンシャルとしてはステンレスの分野では比較的高く、特に同メカニズムのSUS630とは異なる特性を有します。しかしながら、製品や使用環境によっては満足な特性を得られない場合があります。

析出硬化系シリコロイは焼入鋼よりも熱処理の自由度が高く、表面改質技術を併用しやすいという利点があります。

以下に表面改質技術の併用により機能性を向上した例をご紹介します。

1. 低温窒化処理

詳細は、低温窒化処理をご覧ください。

2. 特殊浸炭処理

詳細は、特殊浸炭処理をご覧ください。

3. シリコロイへの適用の利点

  1. 析出硬化系シリコロイ単体で硬度不足の場合、表面硬度の向上がはかれます。
  2. 処理温度が410~470℃付近であるため、同時時効処理が可能です。
  3. 処理温度が410~470℃付近であるため、同時時効処理が可能です。
  4. 過時効処理、高周波熱処理との併用で、局部的な高硬度化、靭性の確保、硬度の傾斜機能性を付加できます。

    ※耐食性は程度の差はありますが、ステンレスは全般的に劣化する傾向がありますのでご注意下さい。

4. 表面改質方法の差異

シリコロイA2(ST)の断面硬度
Fig.9シリコロイA2(ST)の断面硬度
シリコロイA2(AG)の断面硬度
Fig.10シリコロイA2(AG)の断面硬度
シリコロイXVI(ST)の断面硬度
Fig.11シリコロイXVI(ST)の断面硬度
シリコロイXVI(AG)の断面硬度
Fig.12シリコロイXVI(AG)の断面硬度
SUS630(ST)の断面硬度
Fig.13SUS630(ST)の断面硬度
SUS630(AG)の断面硬度
Fig.14SUS630(AG)の断面硬度
SUS304の断面硬度
Fig.15SUS304の断面硬度
SUS316,SUS316Lの断面硬度
Fig.16SUS316,SUS316Lの断面硬度

5. 特殊ガス窒化処理

特殊ガス窒化処理後の断面
Photo.3特殊ガス窒化処理後の断面
工具鋼の断面硬度
Fig.17工具鋼の断面硬度